【治療の記録①】35番の歯——「ほぼ痛くない麻酔」に出会う。

私は虫歯が多い。だから「小臼歯」とだけ言っても、どの歯のことか自分でもわからなくなる。そこでこのシリーズでは、歯に振られた世界共通の番号で記録していくことにしました。

FDI方式という、国際歯科連盟が定めた番号です。

  • 十の位は口の中のエリア:10=右上、20=左上、30=左下、40=右下
  • 一の位は歯の位置:1=真ん中の前歯、2=2番目の前歯、3=糸切り歯、4=第一小臼歯、5=第二小臼歯、6=第一大臼歯、7=第二大臼歯、8=親知らず

今回書くのは、35番——左下の第二小臼歯です。


35番と36番から、治療は始まった

【歯の記録②】に載せた写真の中でも、重要度の高い場所のひとつだった35番と36番。ここから治療を始めることになりました。

1コマ(1回の予約)は2時間。私は他県から通っているので、少しでも交通費や通う時間を抑えたくて、2コマ続けて予約しました。(その後の治療も、2コマずつの予約が多かったです。)

保険診療では考えられませんが、1度に4時間かけて治療してもらいます。同じ歯を4時間治療することは稀で、たいていは隣り合う歯を1コマずつ。虫歯が多い私だから、というのもありますが、隣接面(歯と歯の接する面)を削るので同時に削ったほうが治療しやすいこと、麻酔が1度で済むこと——そんな理由もあったと思います。


「ほぼ痛くない麻酔」

アルパーク歯科のホームページにも書かれている、『ほぼ痛くない』麻酔。

この麻酔を完成させるために、先生はアメリカの歯科医療哲学や、人間の心理面について学ばれただけでなく——なんと、毎日ご自分で、自らの口の中に針を刺して練習をされたそうです。

世界のさまざまな麻酔法を調べ、体験し、使いやすく成績の良いものを採用して、今の形に行き着いたそうです。麻酔薬の選択、粘膜の伸展具合、針の角度、深さ、麻酔液を注入する速度、量——麻酔ひとつとっても、物凄い情報がホームページに書かれています。奥が深く、先生のまさに血の滲む努力がうかがえます。「痛くない麻酔についてもっと知りたい!」と思われた方は、ぜひアルパーク歯科のホームページを見てみてください。

そこには、「歯の麻酔が痛い医院があるのはなぜか?」ということについても書かれています。1日にこなさなければならないアポイントの数があり、限られた時間の中で治療をこなさなければならない——そういう保険診療の都合。先生いわく「僕でも昔はそうでした」と。

自由診療だからこそ、麻酔が効くまでしっかり時間をとってもらえる。麻酔ひとつにしても、保険診療との違いを感じました。


いよいよ、虫歯治療が始まる

治療中の痛みを感じなくするために打つ麻酔。でも、これまでの経験上、その麻酔の注射自体が痛い。

『ほぼ痛くない』——そう聞いていても、これまでの”痛い記憶”が邪魔をして、やっぱりドキドキしてしまう。

まず、注射を打つ箇所に、ゼリー状の表面麻酔を塗って、5分ほど効くのを待ちました。麻酔針を痛くなくするための、麻酔です。これで、”ほぼ痛くない”に近づきます。

しっかり効いたのを確認して、いざ、注射針を歯茎に。

『がぶりさん。痛かったら、すぐに教えてくださいね〜。』

先生に優しく声をかけてもらい、私は歯茎に全神経を集中させた。

先生の手が、口の横で力を込めている感覚が、ググググッと伝わってくる。

手動の注射器で、ゆっくり麻酔を入れてもらう。

——実は、この”手の感覚”が伝わってくることにも理由があります。多くの歯科医院では電動の注射器が使われています。注入の速さがコントロールされていて痛くない、ということで普及しているそうです。でも先生いわく、電動は「注入速度が速すぎる」「速さが決まっていて自由度がない」「つまらない電子音を聴かされる」。だから手で行う麻酔のほうが、よほど丁寧だと。アルパーク歯科では、電動注射器は使っていません。

先生が手で麻酔をしてくれているからこそ、あのググググッという感覚が伝わってきたのだと思います。

——痛くない!

『大丈夫ですか〜、がぶりさん?』

力を込めた手とは裏腹に、優しく声をかけて確認してくれる。でも、全く痛くない!

そして——

『麻酔、終わりましたよ〜。大丈夫ですか?』

(えっ、終わり?びっくり。ほんとに、全然痛くない!)

もう、想像以上でした。ググググッという先生の手の感覚から、麻酔を打たれているのはわかるのに、チクリともしなかった。

麻酔=痛い、が完全に崩れた瞬間でした。良い意味で、すごく不思議な感じでした。

長年、歯の治療が怖かった私にとって、これは大きな第一歩でした。

治療はここから、いよいよ本番へ——。その続きは、また次回に。


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