初めての相談で、心がスッとした。

ホームページには、院長先生が海外で活動されていると書いてあった。もしかしたら別の先生に診ていただくことになるかもしれない——そう思いながら、相談の予約を入れた。

事前に送られてきた用紙には、これまでどんな治療を受けてきたか、その時どう感じたか、これからの治療への希望や質問を書く欄があった。用紙いっぱいに書いて、相談に向かった。

歯科に到着すると、受付のスタッフが笑顔で迎えてくれた。「個室でお待ちください」とすぐに案内された。

予約をしていても到着後すぐに診察室に入れることはなかった、これまでの保険診療とはもう違った。

個室で待っていると、すぐに扉が開いた。

「こんにちは。初めまして。」

明るく優しい声の先生が入ってきた。振り向いた瞬間、ホームページで見た院長先生だとわかった。

思わず言葉が出た。

「先生がいらっしゃると思っていなかったのでびっくりしました!海外でご活躍されていると思っていたので、先生に診ていただけないかもと思っていたんです。すごく嬉しいです!」

先生はホームページの通り、とても優しい方だった。私の話を、じっくりと聞いてくださった。

子供の頃から虫歯が多く、痛い治療が嫌で歯科を転々としてきたこと。前歯の乳歯が抜ける前に永久歯が生え始め、心の準備もなく人生初の抜歯を経験し、ますます歯科が嫌いになったこと。高校からずっと通っていた歯科が閉院し、一年前から別の歯科に通っているが、その治療に疑問を感じていること。

今まさに他の歯科で治療中の歯が数本あり、一本は抜歯してブリッジにする話になっているが、抜歯もブリッジもしたくないこと。噛み締めがひどく骨隆起もあること。歯並びが悪く、矯正にも興味があること。

先生は途中で話を遮ることなく、最後まで親身に聞いてくださった。

保険診療では、これほど長い時間、これまでの治療への疑問や悩みを聞いてもらうことはできない。話を聞いてもらうだけで、心がスッとした。

話を聞き終えた先生が、こう言ってくださった。

「これまで痛くて辛い治療に耐えてこられたんですね。」

そして先生が、自由診療を始めた理由を話してくれた。

もともとは保険診療をされていたが、ある患者さんの一言が忘れられなかったという。

「歯を削って詰めるだけで終わりかっ!!」

その言葉が、先生の転機になった。保険治療でできることの限界をどうにかしたい——その思いから、自由診療に切り替えられたのだという。

患者のために、もっとできることはないか。歯を大切にすることは、虫歯だけの話ではない。生活習慣から始まり、虫歯、歯周病、肥満、高血圧、食後高血糖、糖尿病——その先には脳卒中、認知症、心不全がある。そういった連鎖を、始めの段階で食い止める。患者の体全体の健康管理を、歯科医院が担うという思いで続けてこられたのだと。

自由診療に切り替えた当時はまだ認知されておらず、とても苦労をされたとも話してくれた。

通える範囲の歯科に、歯だけでなく体全体のことまで考えてくれる先生がいた。この先生に巡り会えて良かった——心からそう思った。そして同時に、前岡先生のブログに出会っていなければ、この先生にたどり着くことはなかったとも思った。

私の悩みのひとつひとつにも、先生は答えてくれた。

痛い治療は嫌——無痛治療に力を入れているとのこと。

繰り返す虫歯——先生ご自身が10年間虫歯になっていないという。虫歯から脱出する方法を教えてもらえると。

他院で治療中の歯——途中からでも大丈夫。もっと良い方法がないか、相談しながら一緒に決めましょうと。

不安がひとつずつほぐれていった。

治療の前に、まず3回に分けて検査を行い、その結果をもとに治療計画を立てる。どの場所を、どう治すか——すべて自分で決めることができると説明を受けた。

もう一方の歯科は「悪いところはすべて治療する」という方式だった。虫歯が多い私にとって、優先順位を決めながら治療できるこの歯科を選んだのは、そこも大きな理由のひとつだった。

自分の歯のことを、自分で決められる。

それが当たり前のことのように思えて、でも今まで一度もそんな経験がなかったことに気づいた。

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