自分に合った歯科を、自分で選ぶ。

虫歯と歯周病の予防法はわかった。シュガーコントロールもプラークコントロールも、自分でできることだとわかった。

でも、すでにできてしまった虫歯や、治療した歯の中がまた虫歯になっている問題は、自分ではどうすることもできない。

これ以上歯を失いたくない。痛くて辛い思いをしたくない。

その強い思いと、前岡先生から学んだ「時間をかけて丁寧な、精度の高い治療」への知識が重なって、自由診療を受けたいという気持ちが生まれた。


自由診療を調べ始めて最初に知ったのが、マイクロスコープとラバーダムの存在だった。

マイクロスコープはなんとなくわかった。でもラバーダムとは?

調べてみると、ラバーダムとは薄いゴムのシートを使って治療する歯だけを口腔内から隔離する器具で、唾液に含まれる細菌の侵入を防ぎ、根管治療(神経の治療)の成功率を上げるものだとわかった。器具の誤嚥防止にも効果的だという。

根管治療にラバーダムを使わないなんてありえない、という歯科がある一方で、日本の保険診療の制限(手間と費用)から使用しない歯科医院も多数ある——その現実も知った。自由診療を調べ始めるまで、ラバーダムという言葉自体、聞いたことすらなかった。


地方に住んでいるため、自由診療の歯科は多くない。通える範囲という条件で探すと、早い段階で2つに絞れた。

そこから毎日、2つの歯科のホームページやブログ、症例を見比べた。

どちらもマイクロスコープとラバーダムを使った精度の高い治療が受けられることはよくわかった。

そして症例の写真を見ていくうちに、目を疑うものに出会った。

保険で治療した歯根に折れたヤスリが残ったままになっている写真。被せ物を外すとその内側にプラークがついていた写真。詰め物の変色や段差——普段は見ることのできない、保険治療の「中身」だった。

他人事とは思えなかった。

もちろん、保険診療のすべての歯科がそうだとは思わない。でも前岡先生がこう言っていた。

「歯医者も一人の人間であり、家族も従業員もいる立場なので、患者さんの歯を残すよりも自分の生活を成り立たせるために、本来の歯科医療の姿とはかけ離れた治療を展開せざるを得ない場面が生まれてしまうことが多い。」

日本の保険医療の問題を、改めて考えさせられた。


毎日2つの歯科のホームページを見続けるうちに、自由診療への気持ちは日に日に強くなっていった。
そして私は決めた。

この歯科を選んだのには、いくつか理由があった。

ひとつは、ホームページに「10年間、虫歯と歯周病を止めました」と書かれていたこと。(今見ると20年になっていた。)

すぐに治療を始めるのではなく、まず相談ができる。虫歯になった原因を3回の検査で調べる。治療に入る前に徹底した歯磨き指導を行う——この流れが、前岡先生から教わった「良い歯科の選び方」と一致していた。

そして、保険治療では麻酔が効く前に治療を始められて、とても痛い思いをしてきた。麻酔の注射自体も物凄く痛い。歯茎に深く針を差し込まれたときのグギッという感触は、今でも忘れられない。その麻酔を打つときでさえ痛みを感じないようにしてもらえる——それも決め手のひとつだった。

もうひとつは、ホームページの一つひとつの項目が、先生の親しみのこもった言葉で書かれていたこと。

特に「初めての方へ」というページのこの言葉が、心に刺さった。

「つらかったでしょう?でももう大丈夫。言いたいこと聞きたいこと何でも話してください。」

患者の気持ちに寄り添ってもらえそうだと思った。安心して相談できる気がした。

そして、明るい未来が想像できた。

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