歯周病で歯を失う可能性が高いのに、根本的な原因や予防法について正しい知識を持っている人は少ない——前岡先生のブログにはそう書いてあった。
確かに、私もそのひとりだった。
ブログには、歯周病の進行がイラストでわかりやすく描かれていた。歯肉炎からスタートし、軽度の歯周病、中度の歯周炎、重度の歯周炎、そして歯の脱落。最終ステージだけはイラストではなく、実際の写真が載っていた。
その写真を見てゾッとした。気持ち悪いと思ったわけではない。歯を失う夢を何度も見てきた私は、とても他人事には思えなかったのだ。しかも私の場合、夢の中ではすべての歯が抜け落ちてしまうのだから……。
さらにこう書かれていた。
歯周病が最終ステージまで進行すると、歯が勝手に抜けてきます。炎症の原因になっている歯をお口の外に出そうとする、一種の免疫反応です。
自分の体が、自分の歯を外に出そうとする。それが最終ステージだ。
では、歯周病を防ぐにはどうすればいいのか。
先生の答えはシンプルだった。
歯周病を予防したり、かかってしまった歯周病を治していくために必要なことは、たった一つ。正しい歯磨きでプラークコントロールをすること。
プラークは一度取り除いても、24時間も経てば再び歯の表面に付着してくる。歯医者でクリーニングしても、1日経てば効果が消える。だからこそ、自分の手で毎日プラークを落とす。回数よりも、1回の質が大事。
これを読んで、思った。
これをすれば歯周病は予防できるのに、どうして誰も教えてくれなかったんだろう。
歯磨きは虫歯予防のためだと思ってきた。食べたら磨く、歯磨き粉をつける、バス法で磨く、電動歯ブラシが良い……歯周病を防ぐために本当に大切なこととは、全く別のことに着目してきた。
プラークは食べかすとは違う。一生懸命食べかすを取り除けばプラークはできないとさえ思っていた。でも、それも違った。
プラークは一度取り除いても24時間で再び付着する。こんな大事なことも、知らなかった。
なんで、なんだろう。
でも、先生のこの言葉が背中を押してくれた。
「自分の歯は、自分でしか守れない。」
よし。自分でどうにでもなるなら、これはやるしかない。
そう決めて、本気で歯磨きに取り組むことにした。
そしてもう一つ、驚いた話がある。
「歯石は取っちゃダメ!?」というタイトルの記事だ。
歯周病の治療といえば、まず歯石を取ってもらうものだと思っていた。でも先生はこう書いていた。
歯周病の原因は歯石ではない。
歯石を取っても、一時的に良くなったように見えるだけ。安易に歯石を取ってもらうと「治った」と勘違いしてしまう。
歯周病の8割は、歯磨きで治せる。
まず正しい歯磨きでプラークコントロールができるようになってから歯石を取る。その後も患者自身が正しいお口のケアを続ける——その順番が大事なのだ。
「歯石を取っちゃダメ」というのは、そういう意味だった。

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